その他

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第78回で、茶のしずく石鹸によって重篤な食物アレルギーが発生する恐れのあることを紹介しました。前回は、販売会社の対応のまずさに焦点を絞って説明しましたが、今回は医学的な見地からこの問題について考えてみたいと思います。

「茶のしずく石鹸事件」では、石鹸を使用することによって食物アレルギーを発症するようになったことが悲劇を生んだ訳ですが、肌に用いる石鹸がなぜ食物アレルギーを引き起こすことになったのか疑問を持たれた方も多いのではないかと思います。実は、茶のしずく石鹸に配合されていた「加水分小麦(加水分解コムギ末)」はアレルギー感作という現象を引き起こしてしまったようなのです。

アレルギーの本質は抗原抗体反応によって起こるのですが、生体が何度か繰り返し異物の侵入を受けるとそれらの異物は生体にとって敵であると認識されるようになり、次回からの侵入を防ぐために抗体と呼ばれる特殊なたんぱく質が生産されるようになります。この抗体が大量に生産され、体内に備蓄されてしまった状態が「アレルギー感作」という状態です。

一度この状態になってしまうと、生体は異物の侵入を防ぐため抗原抗体反応によって引き起こされる様々な生体反応を総動員して異物を直ちに排除しようとします。この一連の生体反応がアレルギー反応と呼ばれる訳ですが、アレルギー反応によって引き起こされるくしゃみ、鼻水、鼻づまり、かゆみなどの不快症状は、いずれも異物の侵入を防ぐための防御反応です。

どのようものが異物として認識され、排除されるのかと言いますと、自分の体を構成していない体外からのタンパク質すなわち「異種タンパク質」が異物として認識されます。これは口から入る全ての食物がアレルギーの原因物質=アレルゲンとなり得るということを意味しています。しかし、多くの人々にとって、全ての食物がアレルゲンになるということはまずありません。

それは、以下のような点によってアレルギー感作されるのを防ぐメカニズムが働いているからです。まず一つ目には、口から入ったものは胃や腸で消化を受け、低分子化されます。詳しい説明は省きますが、アレルギー発症のメカニズムとして異物がアレルゲンとして認識されるには高分子であることが必須条件となっているからです。

そして、もう一つは「経口免疫寛容」という現象です。すなわち、口から入った異種タンパク質に対しては、アレルギー感作が起きないように免疫系が調節を受けているのです。これは、ウルシ職人が幼少期よりウルシを食べてウルシアレルギーになるのを防ぐということでも知られています。恐らくは口から入ったもの全てがアレルギーを引き起こしてしまうと体外から栄養素を摂取できなくなってしまうので、それを防ぐための安全機構として働いているのではないかと考えられます。

今回、茶のしずく石鹸で用いられた「加水分解小麦」は、分子量が大きいという特徴を持っていました。恐らくは、保湿性を高めることを目的として開発されたものなので、保湿性を付与するために敢えて完全に低分子化しなかったのではないかと思われます。そのことによってアレルゲンとして認識され得る分子量の大きなタンパク質が残存することになったのではないでしょうか。

つまり、石鹸によって食物アレルギーが引き起こされた背景には、口から摂取されていれば消化によって低分子化されたり、経口免疫寛容が働いてアレルゲンとして認識されることはなかったはずなのに、肌から経皮吸収されたことによってアレルギー感作が成立してしまったと考えられます。非常に残念なことですが、このような背景からこれまで小麦アレルギーを持っていなかった方にまで小麦アレルギーを誘発してしまったと考えられるのです。

今回の事件が発生するまで、「加水分解小麦」は泡立ちと保湿性の優れた素材として市場では高い評価を受けていたようです。以前、「第15回フードファディズム」の記事の中でも申し上げましたが、このように新しく開発された素材には思わぬ落とし穴が潜んでいるものなのです。そのような落とし穴にはまらない為には、何か新しい素材が出てきたときにすぐに飛びつくのではなく、世に出回って使用経験がある程度積み重ねられた頃を見計らってから使用するというのがよいのかも知れません。


末筆となりましたが、不運にも茶のしずく石鹸によって小麦アレルギーを発症された方には心よりお見舞い申し上げます。


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タレント真矢みきさんの名台詞「あきらめないで!」のCMで有名な悠香社の石鹸が原因とみられる重症アレルギーが、大きな社会問題となっているので紹介いたします。

問題の商品は悠香社の「茶のしずく石鹸」です。お茶成分による美白効果が売りの商品で、これまでに累計5千万個も売り上げている同社のヒット商品です。この石鹸には、保湿成分として「グルパール19S」という小麦を酸処理して得られる「加水分解小麦(加水分解コムギ末)」が使用されています。この加水分解小麦には皮膚などから体内に吸収されると小麦アレルギーを誘発する作用のあることが指摘されています。個人の体質や病状の進行の程度によっては、石鹸を使用したときに皮膚のかゆみや湿疹が出るだけでなく、パンやうどんなどの小麦製品を食べたときにも顔や目の周りのかぶれが出現したり、酷い場合には生命の危険も伴う程の重度の呼吸困難に陥る「アナフィラキシーショック」と呼ばれる重症アレルギーを発症することもあるようです(報道記事:拡大する「茶のしずく石鹸」アレルギー被害)。

「茶のしずく石鹸」で重症アレルギーが発症することは早くから知られていて、2010年7月の時点でもすでに専門医から悠香社に警告されていましたが、同社は利用者への注意喚起をすることもなく販売を続け、問題の加水分解小麦の石鹸への配合を止めたのは、医師の警告から2ヶ月も経過した9月になってからです。その後、厚生労働省からも同年10月15日付で消費者への注意喚起を行うよう製造業者に指導がなされていますが(厚生労働省通知:加水分解コムギ末を含有する医薬部外品・化粧品の使用上の注意事項等について)、同社がウェブサイト上で注意喚起を始めたのが同年12月、自主回収を開始したのは2011年5月になってからです。

同社は現在CM放映を自粛しているそうですが、むしろアレルギー発症の恐れがあること、返品交換を受け付けていることなどをメディアを使って大々的に告知すべきではないでしょうか。自主回収を始めて以降も全国の消費生活センターへの被害相談は400件以上に上っており、重症被害も相次いでいるとの報道もあります。もっと早くから対応をしていれば、被害の拡大を防ぐことができたはずです。

被害者団体も結成されており、今後集団訴訟に発展することが予想されます。同社は大きな社会的責任を問われることになりそうです。


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以下に、目次をご紹介しておきます。

はじめに試読可

第1章 健康食品の基礎知識
プラセボ効果試読可
インビトロとインビボ
好転反応
重症アレルギーには要注意
薬事法
メディアリテラシー
天然物信仰と食経験
過剰摂取
相互作用
フードファディズムに陥らないために

第2章 生活習慣病と食品の果たす役割
生活習慣病とは
脂質異常症とフレンチパラドックス
心筋梗塞の予防法
脳卒中
血栓予防と魚油の働き
サイレントキラー(高血圧)
高血圧の予防法①塩分制限と食物繊維
高血圧の予防法②血管収縮とギャバ
高血圧の予防法③血圧上昇ホルモンとペプチド
死の四重奏と内臓脂肪

第3章 健康食品四方山話
アガリクスの悲劇
アトピービジネス
アレルギー性疾患増加の原因と衛生学仮説
残留農薬は本当に有害なのか
蒟蒻ゼリー訴訟とPL法
昭和電工トリプトファン事件
花王エコナ問題
高脂血症薬は本当に必要か?
高濃度カテキンとトクホの課題
ホメオパシーの存在意義

第4章 四季の食材-身近な食品に含まれる栄養成分-
「海のミルク」(牡蠣)
「ワカメの色の神秘」
「タケノコパワーでやる気まんまん!?」
「キャベツは生で食べるのがよい!?」
「アサリは女性の味方♪」
「魅惑の赤い宝石」(サクランボ)
「スイカの効用」
「夏バテには赤身魚」
「ナシですっきり!?」
「白身魚なのに赤い!?」(鮭)
「みかんの手」
「冬至の七種(ななくさ)」



今回、ちょっとしたご縁があり、三五館様から出版されている「悲しき国産食品(中国産の食品添加物に抱きしめられて)」(小藪浩二郎著)という本を読む機会を得ましたので、読後の感想を交えてご紹介したいと思います。

本書は、現役の食品会社研究室長が内部告発的に、食品添加物のリスクについて啓蒙しているものです。

著者が製薬会社や食品会社に勤務されて来た中で感じられた食品添加物にまつわる数々の問題点について、舌鋒鋭く切り込んでいてなかなか痛快でした。また、食品業界や食品行政の裏事情もふんだんに盛り込まれていて興味を惹かれました。

しかし、一方でわかりやすさを追求する余り、化学合成品=悪と決め付けて、バランスを欠いている部分や不正確な記述も多々見受けられました。全体を通して感じたのは、本書は過剰な添加物バッシングに走っていて、読者にゼロリスク症候群(当ブログ「第52回ゼロリスク症候群の功罪」参照)を植え付ける恐れがあるのではないかということです。

必ずしも添加物(化学合成品)=悪ではなく、添加物ごとにそれぞれ個別の議論があってもよいと思うのですが、特定の添加物について詳細な議論をしていたのは、「加工デンプン」ぐらいのものでした。しかし、かなりの紙数を費やしているにも関わらず具体的な健康危害にふれることはなく、ひたすらに食品を化学的に修飾することはけしからんの一点張りで説得力を欠くものでした。何をどれくらい食べればどのような健康危害があるのかをもっと丁寧に論じるべきであろうと思います。

普段安全であると一般に認知されているどのような食品でも過剰に摂取すれば健康危害は現れるものです。マイナス面を過剰に強調して不安を煽るだけでは、何の解決にはならないのではないかと考えます。もしも本当に危険なものが流通しているのであれば、具体的にどれくらいの量を摂取すれば、どのような健康危害が想定されるのかを明示しつつ、徹底的に糾弾すべきでしょう。本書には推測や印象操作による記述が多く散見され、読者をミスリードしているように感じられました。

一方、気付かないうちに品質管理の劣る中国製品が国産品に混入している危険性を指摘した第5章と一般への認知の進んでいないトランス脂肪酸の危険性を啓蒙している第7章については評価に値するものであろうと思います。

以上、功罪半ばする本書ですが、興味をもたれた方はご覧になって見てください。

悲しき国産食品―中国産の食品添加物に抱きしめられて

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今回は、健康食品の話題からは少し外れることをご容赦ください。現在喫煙されている方への私からのメッセージです。

私が、以前勤務していた健康食品の販売会社では、懸賞論文の企画がときどき行われていました。健康食品会社ではよく収集されている自社商品の体験談を募集するためのものです。優秀作品は、表彰され賞金を授与されると共に体験談集にまとめられ、社員のモチベーションアップを図るための社内資料に使われていました。多くのお客様から、奇跡的な改善例が寄せられていた中で、とても印象深く記憶に残っているのは、肺気腫という病気に罹り、酸素ボンベを常時携帯することを余儀なくされていた方からの体験談です。

その方は、肺気腫という肺がぼろぼろになり、吸い込んだ空気から効率よく酸素を取り入れることができなくなる病気に罹り、酸素ボンベが手放せなくなっていました。風呂に入るときも、顔を洗うときも常に酸素を取り入れるためのチューブを鼻からはずすことができず、とても辛く惨めな気持ちになり、なぜこんなになるまでタバコを吸い続けてしまったのかと、自分をひどく呪ったそうです。そんな中で、家族から健康増進のためにと勧められた健康食品を続けているうちに、どんどん呼吸が楽になり、奇跡的に酸素ボンベをはずすことができるまでに回復されたそうです。実際に、表彰式出席のために来社された際お目にかかりましたが、酸素ボンベなしでもかくしゃくとされていました。通常肺気腫になって酸素ボンベを使うようになると一生手放せなくなるというのが常識のようなのですが、まさに奇跡のような回復ぶりでした。

体験談では、その方が肺気腫によってまるでエベレストの登山者にでもなったような息苦しくてつらい生活ぶりが切々と綴られていて、タバコの害の恐ろしさというのをとても強く感じました。タバコと言えば、肺がんというイメージが強いですが、肺がんだけでなく、その他の臓器の発癌リスクも非喫煙者と比較して格段に高いと言われています。煙の通り道である口腔や喉(咽)頭、タバコに含まれる発癌物質が行き着く尿の溜り場である膀胱でもがんに罹る割合が非喫煙者と比べて高いようです。その上、がんを逃れることができても、肺気腫という一度発症してしまうと通常は回復することのない重篤な病気にまで罹る可能性があるのです。タバコの害は、本当に枚挙に暇が無く、この他にも心筋梗塞、バージャー病(手足の動脈が詰まり、切断しなければならなくなることもある病気)、歯周病などあらゆる病気の発症リスクを高めてしまいます。

私の愛煙家であった友人は、喫煙との因果関係がどれくらいあるのかはわかりませんが、直腸がんのため数年前に40歳程の若さで亡くなりました。肝臓や肺に次々と転移して3度の手術を受けましたが、手術の甲斐もなく、幼い二人の娘さんを残したまま旅立たれました。亡くなる直前にお見舞いに行ったときには、病院からもう治療の手段がないといわれて自宅で療養されていました。本当に骨と皮になっておられて、脳にも転移していたらしく、はっきりと会話はできるのですが、つじつまの合わない話をされていました。看病していたお母様は、まだ奇跡が起ることを信じてるんですと涙ながらに息子さんの回復を願っておられました。とてもいたたまれない気持ちになり、因果関係はわからないものの、もしも彼がタバコを吸っていなかったらと思わずにはいられませんでした。

なぜ、今回タバコの害について取り上げようと思ったのかと申しますと、最近、wwpowerさんの「禁煙ブログ!」の記事の中で紹介されていた「禁煙ファシズム発動」という記事を拝見して触発されたからです。この記事を読んで、喫煙というのは本人だけでなく、取り巻くご家族の方にも不幸を呼び込むとても罪深いものだという想いを強くしました。「タバコなくして何の人生か」と思われる愛煙家の方もいらっしゃるとは思いますが、長年の喫煙の果てに巡ってくるであろう苦難とご家族のご心配を思うと、是非一念発起していただければと願わずにはいられません。

喫煙者の方へ。基準値を少々超過した残量農薬のリスクなど喫煙の害と比べると取るに足らないものですが、過剰に輸入農作物を忌避してしまうその鋭い洞察力を是非タバコに対しても働かせていだけませんでしょうか。ちょっと嫌味な言い方になって申し訳ありませんが、真意を汲みとっていただければ幸いです。


※ここまでお読みいただき、ありがとうございました。
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