第79回茶のしずく石鹸事件2

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第78回で、茶のしずく石鹸によって重篤な食物アレルギーが発生する恐れのあることを紹介しました。前回は、販売会社の対応のまずさに焦点を絞って説明しましたが、今回は医学的な見地からこの問題について考えてみたいと思います。

「茶のしずく石鹸事件」では、石鹸を使用することによって食物アレルギーを発症するようになったことが悲劇を生んだ訳ですが、肌に用いる石鹸がなぜ食物アレルギーを引き起こすことになったのか疑問を持たれた方も多いのではないかと思います。実は、茶のしずく石鹸に配合されていた「加水分小麦(加水分解コムギ末)」はアレルギー感作という現象を引き起こしてしまったようなのです。

アレルギーの本質は抗原抗体反応によって起こるのですが、生体が何度か繰り返し異物の侵入を受けるとそれらの異物は生体にとって敵であると認識されるようになり、次回からの侵入を防ぐために抗体と呼ばれる特殊なたんぱく質が生産されるようになります。この抗体が大量に生産され、体内に備蓄されてしまった状態が「アレルギー感作」という状態です。

一度この状態になってしまうと、生体は異物の侵入を防ぐため抗原抗体反応によって引き起こされる様々な生体反応を総動員して異物を直ちに排除しようとします。この一連の生体反応がアレルギー反応と呼ばれる訳ですが、アレルギー反応によって引き起こされるくしゃみ、鼻水、鼻づまり、かゆみなどの不快症状は、いずれも異物の侵入を防ぐための防御反応です。

どのようものが異物として認識され、排除されるのかと言いますと、自分の体を構成していない体外からのタンパク質すなわち「異種タンパク質」が異物として認識されます。これは口から入る全ての食物がアレルギーの原因物質=アレルゲンとなり得るということを意味しています。しかし、多くの人々にとって、全ての食物がアレルゲンになるということはまずありません。

それは、以下のような点によってアレルギー感作されるのを防ぐメカニズムが働いているからです。まず一つ目には、口から入ったものは胃や腸で消化を受け、低分子化されます。詳しい説明は省きますが、アレルギー発症のメカニズムとして異物がアレルゲンとして認識されるには高分子であることが必須条件となっているからです。

そして、もう一つは「経口免疫寛容」という現象です。すなわち、口から入った異種タンパク質に対しては、アレルギー感作が起きないように免疫系が調節を受けているのです。これは、ウルシ職人が幼少期よりウルシを食べてウルシアレルギーになるのを防ぐということでも知られています。恐らくは口から入ったもの全てがアレルギーを引き起こしてしまうと体外から栄養素を摂取できなくなってしまうので、それを防ぐための安全機構として働いているのではないかと考えられます。

今回、茶のしずく石鹸で用いられた「加水分解小麦」は、分子量が大きいという特徴を持っていました。恐らくは、保湿性を高めることを目的として開発されたものなので、保湿性を付与するために敢えて完全に低分子化しなかったのではないかと思われます。そのことによってアレルゲンとして認識され得る分子量の大きなタンパク質が残存することになったのではないでしょうか。

つまり、石鹸によって食物アレルギーが引き起こされた背景には、口から摂取されていれば消化によって低分子化されたり、経口免疫寛容が働いてアレルゲンとして認識されることはなかったはずなのに、肌から経皮吸収されたことによってアレルギー感作が成立してしまったと考えられます。非常に残念なことですが、このような背景からこれまで小麦アレルギーを持っていなかった方にまで小麦アレルギーを誘発してしまったと考えられるのです。

今回の事件が発生するまで、「加水分解小麦」は泡立ちと保湿性の優れた素材として市場では高い評価を受けていたようです。以前、「第15回フードファディズム」の記事の中でも申し上げましたが、このように新しく開発された素材には思わぬ落とし穴が潜んでいるものなのです。そのような落とし穴にはまらない為には、何か新しい素材が出てきたときにすぐに飛びつくのではなく、世に出回って使用経験がある程度積み重ねられた頃を見計らってから使用するというのがよいのかも知れません。


末筆となりましたが、不運にも茶のしずく石鹸によって小麦アレルギーを発症された方には心よりお見舞い申し上げます。


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コメント
この記事へのコメント
豆腐の豊田屋で、だしている、赤大豆せっけんとゆうものをつかい、茶のしずくを使ったとき以上に、痒み、アレルギー反応を起こし、右頬全体的に真っ赤に腫れがひろがっています。店の対応も悪く、通院代ばかりかかってます。
茶のしずくみたく、被害者が、多数出てきて話題になってほしいです。
2012/01/08(日) 01:47 | URL | 赤大豆せっけん #-[ 編集]
健康食により安全にアレルギーが改善されたら、非常に嬉しいです。
2011/10/13(木) 11:37 | URL | 世田谷区の歯科 #pqJ89DmA[ 編集]
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